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龍は最強の超能力を秘め、鱗族(鱗のある魚・蛇など)の長であり、巨大になれば地球をつかみ、小さくなれば蚕の如くなり春分にして天に昇り秋分にして淵に潜みます。龍の角は鹿に似て頭は駝(らくだ)に、眼は鬼に、うなじは蛇に、腹は蜃(みづち)に、鱗は鯉に、爪は鷹に、掌は虎に、耳は牛に似たりと、このことを龍の九似といわれています。また、龍の喉元に一尺四方の逆さ鱗があり、もし知らずにこの鱗に触れるものがあると最後、龍は凄まじい勢いで怒ります。中国では天子の怒りに触れることを「逆鱗に触れる」といっています。
龍の性質は極めて粗猛な面と、さりとてまたかわいらしく子供らしい反面があると伝わっています。古典用語の説明によりますと龍は「青天」と「玉」を愛し、「燕の肉」を食し、嫌いなものは「鉄矢」「むかで」「ささの葉」と「五色の糸」であります。龍の習性について中国ではこのような伝説があります。
日本では端午の節句には「粽(ちまき)」をささの葉に包み五色の糸で結んで作ります。鯉のぼりは鉄矢でできた風車そして五色の吹流しを取り付けて鯉をのぼらせますが、これは全て粽を龍に食べられない様、また鯉が龍に襲われないようにして子供達の無事成長を願ったものであります。
「易学」龍から引用しますと、「雲は龍に従い、風は虎に従う」また「虎は陰中の陽獣、風と類いを同じゅうす。龍は陽中の陰虫、雲と類いを同じゅうす。」ともいわれました。漢の時代の頃のものです。
BC100〜150年頃の中国諸思想・学説総合書「淮南子(えなんじ)」の中にも「虎、嘯(うそぶ)いては谷風を生じ龍挙りては景雲(めでたいときにあらわれる五色の雲)属(しょく)す」という句があり、龍虎の画題の起源となっています。また「竜虎の争い」「竜虎相博(うつ)」など両雄の争いの語源となっています。
中国では龍が現れる時は常に国家の瑞兆としこれを祝っています。「史記」の「三皇本紀」には、太煌庖犠(たいこうほうぎ)氏(易の基礎となる八卦(はっけ)や書契(文字や書を作る意)また、農耕漁法など民に教えた)の時代に竜馬が図を背負って黄河に現れためでたい兆しがあり、また「舜」の時代には黄龍が洛水から出て洛書(経書)を授けたなど、龍が現れたという瑞兆により賀を奉り記念して年号を改めた例が多くあります。
本年は庚辰の年、二十世紀最後そして西暦二千年を迎えるに当たり、皆様の御家庭の上に干支の中の最強の縁起物といわれる龍が雲を従わせて天をかける瑞兆がありますようにと願ってここに龍翔を創造致しました。
皆様のご繁栄をお祈り致します。
五郎辺衛窯 敬白