備前市伊部、備前焼販売店「衆楽館」の社長武用(ぶよう)健さん(41)が、手が不自由な人や、介護をする人が使いやすく 割れにくい備前焼のカップと皿、茶碗6種類を考案した。かつて大けがをして一時期、手に力が入らなかった経験から思いついた。 「ええじゃろう」の名で商標登録し、介護施設や病院の活用に勧める。
カップは、安定して持てるよう取っ手に指4本が入り、置いても倒れにくいように、取っ手の最下部がカップ本体の底とともに接地する 形にした。飲み口には、へこみを付け頭をそり返さなくても飲めるようにした。
さらには縁にへこみ、周囲に返しの壁を付け、スプーンですくいやすくした。茶わんは側面に、手に引っ掛ける取っ手を付けた。 6種類とも、きめ細かい備前の土を堅く焼き締め、落としても割れにくいようにした。
武用さんはフリースタイル・スキーのエアリアル元選手。日本代表として世界選手権にも出場したが、引退後の昨年1月、 スキーで転倒して鎖骨を骨折した。このあと、手に力が入らず、普通に持ったつもりのコーヒーカップを落として割った経験を きっかけに、介護用食器を考えることにした。
介護用品やカタログを参考に研究し、デザインしたものを若手備前焼作家に成形してもらい、17日に約40点を窯出しした。 手の不自由な母親のためにカップを購入した女性客から「大変便利で助かりました」などと感謝されたという。
それぞれ一つ3000〜5000円。武用さんは「介護される人、する人の立場となって考えた。 次は、底にシリコンを付けて滑りにくくした皿もつくりたい」と放している。問い合わせは衆楽館(0869・63.1019)
讀賣新聞 2007年4月30日